米島に捧ぐ

〜米島に話したいことメモ〜

【本レビュー】蚊取り線香の歴史〜きっと誰かに教えたくなる 蚊学入門(2)

前回に引き続き蚊学の本についてのまとめ。

 

初めて発明された蚊取り線香大日本除虫菊金鳥)が1890年に発明したものとされている。当時の日本にはノミ退治用の製品はあったものの、蚊を専門に退治する製品がなかった。そのため、19世紀末に登場し、個人が手がるに蚊の駆除をできるようにした蚊取り線香は、

 

金鳥の創業者、上山英一郎は紀州みかんの農家の子として生まれた。文明開化した東京に憧れ、東京で福沢諭吉慶應義塾に通っていたが、脚気に患い紀州の和歌山に帰郷する。しばらくすると、恩師の福沢諭吉からアメリカの種苗商(しゅびょうしょう)がみかん苗に興味を持っているから案内してほしい、と依頼を受け、恩師の頼みとあって英一郎は親切丁寧にアメリカからの訪問者の対応を行った。

大変満足して帰国したアメリカ人は、後にお礼として様々な植物を上山に贈り、その中に除虫菊の種子が入っていたらしい。殺虫成分ピレトリンを含んだ「除虫菊」に出会った上山は、1890年に棒状の蚊取り線香を発明した。いろんな商品の歴史を知る中で、毎回渋沢栄一福沢諭吉に繋がっていくの、改めて偉人だったのだと感じる。

 

一方で初期の蚊取り線香には課題もあった。約20cmの棒状蚊取り線香は約40分の持続力があるのだが、夜間の睡眠中など40分過ぎてから現れた蚊に対しては対策ができなかったのだ。便利ではあるものの、利用者は40分以上の持続性がある商品を求めていた。

持続性を実現すべく、棒を長くする・広くする、といった方法は考えられたが、輸送時に折れやすくなったり、かさばってしまうというリスクがあり中々うまい解決策が見いだせなかった。

そんな折、上山の妻が渦巻き型のコイル型に巻いた形を作ることを考案した。型抜き形式でうずまきを作る手法も試されたが量産課題があったため、2本の線香をコイル状に巻く現代の形が生まれた。この形式にすることで輸送に折れるといった品質の課題も解決されている。渦巻の形状って持続性を高める実用性を追い求める過程で生まれたものとは知らなかったな〜。

 

P.S. 「旦那様が浮気をしなかったら、あなたはこの家に来なかったのよ~」って犬に言い聞かせてる友達がいます。犬の戸惑いが想像できます。