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【本レビュー】蚊の生体と防除活動〜きっと誰かに教えたくなる 蚊学入門(1)

蚊と人類の関係性についての本を読んだので何回かに分けてまとめていきたい。身近なトピックなのに知らない情報で溢れておりとてもオススメ。

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蚊の幼虫であるボウフラは水のある場所に発生するが、文明が発達してくる過程で、人類が水田や水道など水の力を借りてきたこともあり、人類と蚊の関係性は文明が生まれ始めた初期の頃から存在している。

蚊の存在に関して言えば、1億年以上前に生息していたとされる蚊の化石が発見されており、人類より遥かから蚊はこの地球上に出現しているみたい。本書ではおそらく氷河期に入る前のマンモスの血を吸っている蚊もいるはずだと述べられており、以前に読んだ「あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話」で学んだように、もし蚊の体内に蓄積されている血からDNAが鑑定出来るのあれば、マンモスについての研究も進むなんてこともあるのかな?

 

日本では874年に万葉集の中で蚊に関する歌が歌われているそう。その後にも鎌倉時代徒然草、江戸時代の浮世絵と各時代で蚊の存在が確認されている。この当時の人々にとって蚊は「鬱陶しい虫」位の認識で、蚊が病原菌を運んでいることは認識されておらず、マラリア拡大等の原因として認識され始めるのは明治時代に入ってきてからだったそうだ。

また、明治以前は蚊帳をはったり、火を炊いて煙で虫を追い払うといった蚊からの被害を防ぐ、逃げる手段が取られていたようだが、水面に油をたらすボウフラ防除や、蚊取り線香のような除虫機能がついた対策が講じられたのも明治時代になってからで、明治が日本の蚊にとっても大きな分岐点になっているみたい。

現代の蚊の対策で世界的に有名なものとしては、1903年に始まったパナマ運河の建設時だった。アメリカの研究者は蚊が感染症を媒介することを確認し、1.発生源の除去網戸の仕様、2.草むらの焼却、3.鉱油滴下によるボウフラ駆除等を徹底して実行し、建築場で病気の拡大を抑え込むことに成功したそう。

 

年代を見るとここ100年程で一気に蚊の被害を抑え込む活動が進んだんだね。興味深い。

 

P.S. Macbookで「ころなか」って書いて「コロ中」って変換されるの、もう少し世論を掴んでほしいですね(え