米島に捧ぐ

〜米島に話したいことメモ〜

文喫の値上げと山内のロレックス:背中を押してくれる物語

「お会計は2530円になります。」

そう言われた私は脳内がパニック状態になった。

ん?1980円ではないのか?高すぎる、、このお金で今週いっぱい食べていけるぞ、、なんのための節約だったんだよ。

 

値段を聞いてから今さら帰りますとは言いにくく、いつ値上げしたんだよ馬鹿野郎と思いながら財布を手に取る。後にひけなくなったその瞬間、頭をよぎったのはかまいたち山内のロレックスの話だった。

 

ロレックスが気になっていた時に百貨店の人を紹介してもらい一緒にロレックスに行ったらしい。本命は100万の商品だったものの、見栄をはって400万の超激レア商品を探していると店員さんに言ったら、奇跡的にその日に1つだけ在庫があったというのだ。店員さんも3ヶ月に1度見るか見ないかというレア度で、その場は「いや山内さんもってますわ〜」と優勝ムード。こんな奇跡ありませんよ!と盛り上がる雰囲気の中、それ買いませんとは言いだせない山内。結果、山内はそこまで欲しくもなかったロレックスの時計を400万で購入したというのだ

500円の値上げなんて山内の400万に比べれば...と開き直って支払いを済ませた。背中を押してくれる物語ストックがあると生きやすさにつながると実感した。

 

所変わって町屋。有名なもつ焼き屋を先日初めて訪れた。

新入りか・・・と警戒されながらも優しく接していただいて、気がつけば一緒に写真までとって(勝手に取られて)お気に入りのお店になっていた。他の客が殆ど帰った所で常連さんと店長が値上げについて語り始める。

仕入れはぜーんぶ値上がりしてるよ。でもこの安さで新鮮なもつを提供しようってやってきてさ、10円上げるのできないのよ。何かお客さん裏切っちゃうみたいでさ。」

「いや絶対そんなことないって。この店の料理を都心で出したら1本400円はする所を100円ちょっとで出してんだよ。誰も文句言うやつなんていないって。」云々。

個人的にも破格すぎる、どう儲けてるんだと驚くぐらいの価格だったが、店長には店長のプライドがあり、10円の値上げも簡単にはできないと悩んでいた。

事業者も消費者もそれぞれ値上げに思うことはあるんだけど、今までと値段が変わるってことは何かと感情が動くタイミングにもなるよなと思う一日だった。

 

PS:限界を迎えて耳くそが入り口にスルスルと落ちてくるタイミングってたまらなく気持ちいい。「そうか、君から来てくれたか。よく来たね。」って思いながらほじくり取る瞬間の爽快感よ。