米島に捧ぐ

〜米島に話したいことメモ〜

「枯れた技術の水平思考」について思考する:横井軍平ゲーム館

枯れた技術の水平思考」というキャッチーな言葉に引き寄せられ本を買う。任天堂ゲームの基盤を作り上げたのはマリオの宮本茂さんや元社長の岩田聡さんだと思っていたけど、遡っていくと花札を作っていた任天堂がゲームに踏み切ったタイミングで活躍したのは、この本でテーマとなっている横井軍平さんだった。

生ける伝説の宮本さんが師匠と崇めた人物らしい。グラフィックや処理速度での競い合いという一面を持つ近代ゲーム開発に対して、アイディアがない奴の逃げ道になっている、そこに楽しさの本質はないと言い切る姿勢が非常に気持ちよかった。

 

ウルトラマシン

子供の頃に家で遊んでいた「ウルトラマシン」の作り手が横井さんだったとこの本を読んで知る。中高時代に、おもちゃは何でも買ってもらっていたお金持ちの友人がいた。そいつ遊びに行ってもピンポン玉を竹の物差しで打っていて、これだけの誘惑があるのに何が面白いのかと思った経験から着想を得た。あいつがあれだけ熱中しているんだから絶対楽しいんだろうと作った玩具が大ヒットとなる。

 

ラブテスター

ただの電流計が「公然と女の子の手を握るための道具」に。枯れた技術の水平思考の代名詞の一つとなる玩具。先端技術を用いた商品開発でなく、すでに普及した技術自体が希少性を失いコストが嘘のように低くなったタイミングで、一捻りのアイディアを加えて商品化する。
この発想は、その他にも「レフティRX」という左にしか曲がれないラジコン玩具にも使われている。マルチチャネルから1チャネルに絞ることでコストを101に抑えた。

ゲームウォッチの発明

新幹線の中で退屈しのぎに電卓で暇つぶしをしていたサラリーマンを見て、暇つぶしのできる小さなゲーム機はどうか?と着想を得た。当時左ハンドルの外車に乗っていた数少ない任天堂社員だった横井さんは、社長の運転手が休んだ日に偶然運転代行を頼まれる。

何か仕事の話をしなければと考えた横井さんは、新幹線で見かけた電卓で退屈しのぎをしたサラリーマンの話をした。気がつくと参加した会合で社長の隣に電卓世界一のシャープの社長が偶然座っており、社長が話を通しており一気にプロジェクトが進んでいった。何事もなかったら忘れられていたアイデアの一つが偶然世の中に出た。

ちなみに任天堂とシャープの関係性は興味深く、電卓の3倍もの大きさの液晶を使うゲームウォッチのメガヒットは縮小しようとしていたシャープの液晶工場の活性化に繋がり、次の技術開発に繋がっていった。

また、ゲーム&ウォッチのデバイス自体は、座った時に自然と人間は手を前で組むので、その体制で利用できるデバイスならひと目につかず暇つぶしできるだろう、と考えて設計されているらしい。

 

ゲームボーイの値段

「ポケットに入る程度のゲーム機がなぜファミコンよりも高い値段で売られているのか」と反応されてしまうので、「ファミコンより安く」が最大の問題点になった。今ではiPhoneが普通のPCより遥かに高い現代の感覚がバグっているように感じる。

 

モノクロにこだわった理由

ファミコンではカラー画面ゲームが存在していた中、初代ゲームボーイはモノクロで発売された。カラーでは1時間半も持たない電池でもモノクロでは10~20時間のプレイに耐えられる。また明るい場所では光の反射でカラー版は屋外では見えにくいとのデメリットもあった。最終でも書かれていたが「何をはずすか」を責任もって言える人がもっと世の中に必要だと書かれていて非常に納得感があった。

 

P.S.

引越し後にする初めてのゴミ出しってなんであんなに緊張するんですかね?何も悪さしていないのにダンボールに自分の名前がついていないか3回は確認してる。